たからもの:052


 雪月陽朔 様





「いつまで寝てるんだ このド阿呆ぅーーーっ!」


俺の今日は愛しの遼の怒鳴り声から始まった。



Happy birthday ....?



怒鳴り声とともに、遼が毛布その他諸々を俺からむしりとる。
だんだんと冬に近づいたこの季節に、イキナリ暖かい布団を取られてはやはり、寒いもので。
俺は思わず震えた。
しかし、そんな俺にかまわず、遼は奪い取った布団を干し、毛布をクリーニングに出す準備をし、タオルケットを洗濯機に放り込んでいる。
そして、再び俺のほうを振り向くと、
「さぁ、働け!!ちょうど、今日は旧体育の日だ!!!身体を動かせ!普段、何もしてないんだから尚更お前はやれ。今日はこの見るに耐えないお前の部屋を掃除しろっ!!!!!!」

前々から、掃除しろとは言われていたが、まさかこんな急行手段をとられるとは。

「とっとと着替えて、部屋の掃除!それが終わったら庭の草むしりと物置の掃除!!お前のモノがいーーーーっぱい溜まってるんだよ!!!部屋の掃除が終わるまで飯は無い!!!全部終わるまでにリビング及びキッチンに近づいてきたら・・・・・。」

「ち、近づいてきたら・・・・・?」

あまりに神妙な顔で言うものだから、思わず聞き返してしまったのが間違いだった。



「殺す。」



あまりに、低い、ドスの利いた声に、寒気がした・・・いや、寒いんだけどな。今の状態も。

遼は・・・たまに伸より恐い・・・絶対・・・。





「とりあえず・・・掃除しろと?この部屋を??」

自分の部屋の、現在の状況を見て、掃除なんて不可能なんじゃ・・・・と思ってしまう。
書類は散乱していて足の踏み場も無い。
本棚はぐちゃぐちゃでそこらじゅうに本が落ちている。
その上、衣類がまた整理されていなくて、どうやら洗濯に出さなくてはいけないものがちらほら・・。
ついでに、机の上は、いろいろなものが積みあがっていて、机の部分が見えない。

・・・・・どうしてこんなんになるまでほっといたのだろう。

「頑張れ、俺・・・。」
いつになく集中した俺の、大掃除が始まった。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・終わった!!!終わった!!!!!」

数時間後、俺の部屋は見違えるように綺麗になっていた。

散乱していた本や書類は、綺麗に並べられたりファイリングされたし、衣類も洗濯するもの以外は畳んでタンスの中だ。
机の上はものが無くなり、久し振りに机と認識できたような気がする!

やれば出来るんだよ・・・俺は!!





ガンッ!!!

「あ、ごめん。」


・・・・・・・俺は痛さで蹲った。

達成感と脱力感で、扉の前で突っ立っていたのがいけなかったのか。
食事を届けにきた遼が扉を開けた瞬間、俺の後頭部に激突した。

「見ろよ、遼!!この部屋を!!!」
自慢するかのように、遼に言うが、遼はニッコリと
「それが終わったんなら、次は庭の草むしりと物置の掃除なv」

有無を言わせない笑顔で言い放った。


「ハイ・・・・・。」





「当麻、パス!」
「はっ!?」
庭の草むしり、及び掃除が終わり、物置の整理もこのダンボールを移動するだけ、という状態だった時。
遼がイキナリ声をかけ、何かを投げた。
突然だったが、そこは俺も元サムライトルーパー。しっかりキャッチした。

・・・・・・ポカリだった。

「お疲れ。ソレ飲んだら、風呂入ってこいよ。」

「了解。」


遼の愛をかみ締めながら、俺はさっさとポカリを飲み干し、脱衣所へ向かった。





風呂から戻り、夕食にありつこうとリビングに入ればそこには・・・・俺の好物や普段なら滅多に見られないような料理が並んでいた。ついでにケーキも。

「・・・どうしたんだ?これ。」


「馬鹿?お前って馬鹿??今日、お前の誕生日だろ。」


・・・・ああ。そういえば。


「とりあえず、誕生日オメデトウ。俺の誕生日のときは、すっげー高そうなトコで夕食食べさせてもらったけど、同じじゃ芸が無いから。俺のだけど・・・・料理。」


・・・やばい。すっげー嬉しいかも・・・。

「やっぱ、俺の誕生日にしてもらったのを返すってのもあるんだけどさ、それだけじゃなんか癪だからさー。『俺のして欲しいこと』をしてもらおうと思って、今日色々やらせたんだよな。世の中、Give-and-takeだろ。」


・・・・・

「・・・・・何笑ってるんだよ、お前。」


「なぁ、遼。お前は今日、料理作ってくれただろ?で、俺は部屋の掃除と庭と物置の掃除やったよな?」

「は?・・ああ、そうだけど?」

「じゃあ、部屋の掃除の分はtakeしてもらったから、庭と物置の掃除の分を貰ってもいいよな?」

「・・・・は?・・・てか、なんで俺、押し倒されてるわけ??」

「まぁ・・・そういうことだv」

あー・・・俺今、すっげー顔緩んでるんだろうなー。

「はい!!??ちょ・・・待てって!」

「待たないv」



・・・


「ん?」

「とぉ〜おぉ〜まぁ〜〜????」

あ。
こ、この声は・・・・・;;


「人がわざわざ祝いに来て見れば、君はなぁにをしてるのかなぁ???」

恐る恐る後ろを振り向けば、目が完全に逝っちゃってる伸が・・・;;

朝、伸より遼のほうが恐いと言ったが、訂正しよう。

一番恐いのは、こいつだ・・・・・!!


「だから待てって言ったのに・・・。」

額を押さえながら、遼が言った。



その後、当麻がどうなったかは、誰も知らない。
遠いほうで、ドォォンという地響きが聞こえたような気がしたが、俺は知らない。何も。(遼)



END



〜あとがき〜
ご、ごめんよ羽柴;;遅れてしまって・・・・・(滝汗)。

つくづく、羽柴が不幸になる話ですが、おめでとう、という気持ちは篭ってますの
で。(本当かよ)
こんなものでよければ、お納めください。





お納めいたしました、陽朔さんーvv
ありがとう御座いますっv 当麻の誕生日のお話ですねーvvv
頂いたメールのHTML解析が上手くいったので、原文まま・・・でもありませんが、ちょっとでもその雰囲気を出せてたらなぁという気分でUPしてみました。
私と同じフォントを持ってるひとは、良かったねーって程度で。
まぁ、あたしの自己満足なんだけどさ(苦笑)

相変わらずイケイケ遼ちゃんがステキです!
「馬鹿?お前って、馬鹿?」
どの番組でそんな物言い覚えたんだ遼ー!(コラ)
でもまぁ、これもそれも、ってことでv きゃvv
そしてお約束のお邪魔虫伸ちゃんですが。
ここもねぇ。
「だから待てって言ったのに・・・」
だから待て?だから待て?
じゃあ、伸ちゃんが来なければ、「待て」なんて言わなかったんですか、遼ちんー!!
ちょっともぉ、なんだかんだ言いながら、結局アツアツなんだからっvvv
いいですいいです、羽柴も絶対幸せですってv
幸せな羽柴とかわいー遼ちゃんを、ありがとうございましたーvvv




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